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"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

東北ツーリング2010 (5) [Wessay]

~ 大噴出ゼヨ ~

県道(羽州街道)は前に車がつっかえていてトロトロと走らざるを得なかったが、おかげで途中の交通取締りは無事にスルーした。
美郷町から国道13号線になったところのコンビニでトイレ休憩しつつ横手市に入った。
横手からはひと区間だけど高速(無料)に乗り、十文字ICで降りて、またしばらく県道をひた走る。
しばらくすると国道398号線になるが道は広くはならない。そのまま県道が続いているという感じじゃった。

県道のような国道は皆瀬川という川に沿ってじわじわと登っていく。ここも車が少なかった。いや、ほとんど走っていない。
左手に城跡を示す案内看板があったのだが、あたりが薄暗くなってきたこともあってよく見えなかった。
日没と競争するように前の車はズンズン飛ばしていたが、「ようこそ小安峡へ」の看板を通り過ぎたところでスピードが少し落ちた。
秘湯へは細くて険しい山道かダートを通って行くのではないかと想像していたが、その心配はなさそうだ。

そして本日の宿、小安峡温泉秋仙に到着したがじゃった。本日の走行距離 415km。

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築1年の新築宿

ここでガイド役石田君(仮名)について紹介しておこう。
彼とはかれこれ20年来の知り合いで、一時期は毎週のように一緒に呑んでいた日本酒仲間でもある。スキーにも行った。
今は仕事で上京してきたときにたまに会う程度だけど、数少ない気の置けない友達のひとりである。
見かけによらないアウトドア派で、カーキチでもあるが、近年は温泉めぐりが趣味らしく、硫酸ガスが噴出すような危険な天然露天風呂にも挑む、命知らずの温泉ハンターになっているようだ。命はかけなくていいと思うが・・

今回はふと「八幡平あたりの温泉にでも行きたいなぁ」と思いついて、「東北のどっか温泉にでも行かないか」とこっちから持ちかけたのだけど、返ってきたメールが「じゃあ八幡平でも行きますか」・・以心伝心とはこのことゼヨ。
ということで、八幡平を東と西から登って峠で落ち合うという、スケールの大きいおとなの待ち合わせをしたのが一週間前のこと。
ちなみに彼は前日別の温泉に行き、車中泊をして八幡平入りしたのだった。

さあ、部屋に荷物を置いて浴衣に着替えたら、さっそく風呂だ。外湯は道路を挟んだ向かい側にあるらしい。
脱衣所は一応左右に分かれているが男女の表示はない。
勝手知ったるハンター石田は左側に入り、電気をつけてさっさと裸になっていた。

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お風呂はひとつだけ(写真は翌日のもの)

浴槽の外の谷の底は皆瀬川が流れているはずだが、このときはもう日が暮れていたので景色はよくわからなかった。
でも、まず空気がおいしいし、湯加減もちょうどよく、尻をやけどする心配もないのでリラックスして入れる。
左隅に”立ち湯”がある。風呂の縁にあごを乗せて谷と山の景色を見ていると立ったまま寝てしまいそうだった。

彼はもっと長湯をしていたそうだったが、お腹もすいたし、宿に戻って内湯に入った。ライダーは頭を洗いたいのだよ。
もちろん身体も洗ったのだけど、石鹸を流したあとでも身体をくんくんと嗅ぐと硫黄の匂いがした。そう、藤七温泉の。
ハンターの解説によると、洗った後のほうが活性化してむしろ匂いが強くなるとのことだった。家まで香りを持って帰れそうだ。

そしてお待ちかねの食事の時間。他に一組しか宿泊していないらしく、通された十畳ほどの座敷にお膳はふたつだけ。
お風呂からあがってくるタイミングを計算して料理の準備をしてくれるのは民宿だからできるサービスだ。
でも内湯に入ることは計算外だったらしく、「天ぷら揚げたてじゃなくなっちゃったけど、ごめんなさいね」と女将さんはすまなそうにしていた。

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どうですかこのご馳走

海の幸以外は地元の食材だ。マグロと一緒に盛られているのは地元の皆瀬牛の刺身。鮎ももちろん天然。
客が少ないせいか、女将さんが話しに付き合ってくれておもしろかったチヤ。
写真にはないが後で持ってきてくれた吸い物に入っていたキノコはじいちゃんが採ってきた天然マイタケだということ。
(実はマイタケは大の苦手なんだけど、何故かこの”栗の木に生えていた”というヤツは香りがきつくなくて食べられた)

それからシメは稲庭うどん。全く知らなかったが、なんと此の地は稲庭うどん発祥の地だったのである。
来る途中にあった城跡は「稲庭城」。その付近には製麺場が何箇所もあって、周辺地域の人が大勢働いているという。
地元では温かくして食べるのが基本らしい。胃にもやさしくて、5秒でなくなってしまった。

こんな心づくしの料理を食べたのはいつ以来だろうと感動しながらも、久しぶりに仲間と酌み交わす酒に身体が蕩けていった。

じゃあ部屋で呑みなおそうかと席を立った二人だったが、部屋に敷かれていたふかふかの布団に横になった瞬間、あまりの満足感と心地よさに夢の世界へあっけなく落っこちていったのだった・・・

*

気が付くと朝5時。よく寝たなぁと久しぶりの深い睡眠の余韻を感じながら、窓の外の天気を確認していると相棒も目を覚ました。
「朝飯前にちょっと散歩しないか?」
「いいですねぇ、大噴湯でも行きますか」
「大噴湯?」

そこは小安峡最大の見所で、皆瀬川の谷底で自然に源泉が大噴出しているということは昨日ちらりと聞いていた。
「ひょっとして宿の手前の橋のところで湯気がもくもく出てたところ?」
「ああそうです。前回来たときは川が増水してて谷に下りることすらできなかったので見れなかったんですよ」
「へー、じゃあ行ってみよう」

歩いていくとちょっと時間がかかるということなので車ででかけたが、ものの5分もかからずに着いた。
谷に下りていく歩道はきれいな石造りで頑丈そうだったのはいいのだけれど、これまたすごい急階段じゃった。

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川は遥か彼方

谷は断崖絶壁なので、つづら折れに階段を造ることができないからだろう、曲がることなくほぼ一直線に下っていく。
だから目的地までの平行距離がとにかく長い。谷底に着くと、何やらブシューブシューッと蒸気機関のような音がしてきた。
川に沿った歩道の脇のあちこちからも湯気が沸き立ち、温泉が噴出していたが、大噴湯はそんなものではなかった。

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反対側から見ると

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右下横向きに源泉が噴出している

湯気の中を通過するときは視界がほとんどなくなる。噴火ならぬ噴湯という名前がついている訳がよくわかった。
相棒は何やらそこかしこの湯溜まりに手を突っ込んで湯加減をみている。
そして、「あ、ここだここだ」と叫んだかと思うと、早朝で人気がまったくないことをいいことに服を脱ぎ始めた。

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入っちゃったよ (@@)

さすが温泉ハンターであるが、こっちはもう可笑しくてゲラゲラ笑うばかり。でもここまでやっちゃうとね・・

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ただの山猿ゼヨ ^^

戻りの上り階段は下りの5倍はしんどかったけど、宿に戻って入る朝風呂はその分だけ気持ちよかった。

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紅葉はこれから

朝ごはんももりもり食べた。もちろん温泉玉子もおいしくいただきました。
ちょっとここで一休みしたいところだったが、また爆睡確実なので出発の準備をした。

今日は全線開通したばかりの398号線をそのまま進み、栗駒山を越えて宮城県へ入るコースで帰途に着く予定だったが、せっかくなので少し戻って稲庭城まで行くことにした。
相棒も逆戻りルートで新潟に帰る。

女将さんに見送られながら、民宿を8時半に出発した。
稲庭城址は高台にあるため、スロープカーという乗り物で登るのだが、営業は9時半からだった。
女将さんの話では殿様が乗る籠の形をした乗り物だということだったが、待っている余裕はないし、歩いて登るのはまっぴらなので、記念写真だけ撮るだけにした。

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スロープカーは見てみたかった

そして温泉ハンター山猿君とは、お互いの帰路の無事を祈りながら握手をし、ここで別れた。また近いうちにと願いつつ。

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稲庭城の前に立っている看板

さあ、またソロツーリングのはじまりだ。天気が少し心配だが、戻りのルートは走ったことのない道を通っていくつもり。
どんな道が待っているのか、トラブルなしで帰り着くことができるのか、バッテリーは大丈夫なのか。。



つづく


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