"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
甲州。信州。探虫。の旅 第1話 [Wessay]
2013.7.14~16までのソロツーのキロク。
ツーリングといいながら、初日は昆虫塾の昆虫採集イベントに参加することが目的でした。
つまり、イベントに参加し、その流れでさらに高原まで足を延ばしてしまおう、というのが今回の目論見。
採集会は山梨県のとある無人駅に現地集合。
日曜日の朝、少し余裕をみて6時半にチバを出発・・しようと思っていたけど、いつものように準備がのろく、エンジンをかけたのは6時40分でした。
いいわけをメモしておくと、今回がトリッカー(愛称募集中)での初ロングツーリングで、ちょっと勝手が違うこともあったということ。
首都高を走るのに(色々な理由で)すごく抵抗があるので都内を抜けるまでは高速使わないのは予定行動。
日曜の早朝なので高速並みで巡航できるのも想定どおり。
皇居にぶつかって半蔵門から甲州街道に入り、新宿過ぎて大原の交差点までは至ってスムース。
高井戸あたりからは道が細くなることもあってスローペースになったけど、調布までの辛抱。
調布からは中央自動車道に乗るのだ。
が、
調布IC手前で想定外の表示。 「調布~八王子 渋滞20km」
20キロも渋滞している高速に乗るのは即座に却下。八王子に急ぎます。
日野バイパスも空いていて順調・・でも八王子インターは20号線から遠いよなぁと脳みそナビが計算開始。
そうだ、たしか高尾から乗れるはずだというのが計算結果でしたが、それは圏央道のICだったのでした。
何も考えないで乗ればよかったのに、あれ?中央道のICじゃなかったのか、と断念しました。
こうなったら、バリバリ伝説よろしく、あの大垂水峠をせめてやるぜとキアイを入れたのだけど、目の前には軽トラが立ちはだかっていました。
やっと相模湖ICにたどり着き、中央道へ。
高速に乗ったらまずは休憩がてら朝飯だと思っていたけど、その予定は無残に消えてしまいました。
中央道に乗ってみて、渋滞していた理由がわかりました。
それはジエイタイの車両。大砲を牽引したトラックが何台も走っていました。
ただ、いい方に予想外だったのは、トリッカーの高速安定性。 100キロくらいで巡航する分には何も問題なし。
車体のブレもハンドルの振動もなし。上り坂のパワーダウンは多少あるけど思ったよりがんばって回ってくれる。
なんとか遅れを取り戻そうとはしたけど、甲府の手前であきらめました。
双葉SAに入って、まずは事務局に連絡。15分ほど遅れることを伝えました。
すると、それなら駅ではなく採集ポイントに向かってくれればよいとのことだったので他の参加者には迷惑がかからないことがわかって一安心・・したので、朝飯にサンドイッチを買いました。
それを食べながら高速を降りてからのルートをチェックしたらすぐにリスタート。
ポイントに行く道中で出くわすのでは、とのことだったのだけど、なかなか見当たりません。
見当たらないって、どうしてわかるかというと、彼らはとても目出つものを持っているのです。
それは虫採り網。
網の大きさも竿の長さもホームセンターで売ってるような素人仕様ではありません。
伸ばしたまま持って歩いていると、それはまるで大名行列のようになるのです。
その大名行列がなかなか現れないので不安になりかかったのですが、ある県道にでた瞬間、いました。
しかもその地点はまさに採集ポイントの林の入口。
この林に全員入ってしまった後ではさすがに見つけることはできなくなるところでした。
念のため声をかけると向こうからもこちらの名前を呼んでくれました。
さて、ここでやっと写真を載せますが、今回の採集対象の昆虫はこれでした。
ご存知、日本の国蝶です。
ツーリングといいながら、初日は昆虫塾の昆虫採集イベントに参加することが目的でした。
つまり、イベントに参加し、その流れでさらに高原まで足を延ばしてしまおう、というのが今回の目論見。
採集会は山梨県のとある無人駅に現地集合。
日曜日の朝、少し余裕をみて6時半にチバを出発・・しようと思っていたけど、いつものように準備がのろく、エンジンをかけたのは6時40分でした。
いいわけをメモしておくと、今回がトリッカー(愛称募集中)での初ロングツーリングで、ちょっと勝手が違うこともあったということ。
首都高を走るのに(色々な理由で)すごく抵抗があるので都内を抜けるまでは高速使わないのは予定行動。
日曜の早朝なので高速並みで巡航できるのも想定どおり。
皇居にぶつかって半蔵門から甲州街道に入り、新宿過ぎて大原の交差点までは至ってスムース。
高井戸あたりからは道が細くなることもあってスローペースになったけど、調布までの辛抱。
調布からは中央自動車道に乗るのだ。
が、
調布IC手前で想定外の表示。 「調布~八王子 渋滞20km」
20キロも渋滞している高速に乗るのは即座に却下。八王子に急ぎます。
日野バイパスも空いていて順調・・でも八王子インターは20号線から遠いよなぁと脳みそナビが計算開始。
そうだ、たしか高尾から乗れるはずだというのが計算結果でしたが、それは圏央道のICだったのでした。
何も考えないで乗ればよかったのに、あれ?中央道のICじゃなかったのか、と断念しました。
こうなったら、バリバリ伝説よろしく、あの大垂水峠をせめてやるぜとキアイを入れたのだけど、目の前には軽トラが立ちはだかっていました。
やっと相模湖ICにたどり着き、中央道へ。
高速に乗ったらまずは休憩がてら朝飯だと思っていたけど、その予定は無残に消えてしまいました。
中央道に乗ってみて、渋滞していた理由がわかりました。
それはジエイタイの車両。大砲を牽引したトラックが何台も走っていました。
ただ、いい方に予想外だったのは、トリッカーの高速安定性。 100キロくらいで巡航する分には何も問題なし。
車体のブレもハンドルの振動もなし。上り坂のパワーダウンは多少あるけど思ったよりがんばって回ってくれる。
なんとか遅れを取り戻そうとはしたけど、甲府の手前であきらめました。
双葉SAに入って、まずは事務局に連絡。15分ほど遅れることを伝えました。
すると、それなら駅ではなく採集ポイントに向かってくれればよいとのことだったので他の参加者には迷惑がかからないことがわかって一安心・・したので、朝飯にサンドイッチを買いました。
それを食べながら高速を降りてからのルートをチェックしたらすぐにリスタート。
ポイントに行く道中で出くわすのでは、とのことだったのだけど、なかなか見当たりません。
見当たらないって、どうしてわかるかというと、彼らはとても目出つものを持っているのです。
それは虫採り網。
網の大きさも竿の長さもホームセンターで売ってるような素人仕様ではありません。
伸ばしたまま持って歩いていると、それはまるで大名行列のようになるのです。
その大名行列がなかなか現れないので不安になりかかったのですが、ある県道にでた瞬間、いました。
しかもその地点はまさに採集ポイントの林の入口。
この林に全員入ってしまった後ではさすがに見つけることはできなくなるところでした。
念のため声をかけると向こうからもこちらの名前を呼んでくれました。
*
さて、ここでやっと写真を載せますが、今回の採集対象の昆虫はこれでした。
オオムラサキ
ご存知、日本の国蝶です。
銀座ネコ [Wessay]
昨日(正確にはおととい)、銀座に行ったので、
久しぶりにあるお店である食べ物を買おうと、
銀座一丁目から新橋方面に向かって中央通りをてくてくと、
その店を探しながら歩きました。
でもないんです。
たしか、三丁目か四丁目あたりにあったと思ったのに・・・
銀座七丁目まできてしまったので引き返しました。
今度は東京駅方面に向かっててくてくと。
三丁目まで戻ってきたとき、人だかりができているのに気がつきました。
大道芸人でもいるんだろうと、通り過ぎようとしたのですが、
目に入ってきたのは・・
銀座猫
銀座松屋の前の看板大理石の上で寝ています zzzz
文字通り、衆人環視の中でもすやすやと zzzz
みんなが携帯やデジカメでパシャパシャとシャッター切っていたってまるで気にせず zzzz
どうやら慣れているようです。
今日がデビューでないことは確かでしょう。
実は3匹いるのです
ひょっとして家族なのかなぁ。
飼い主らしきひとは見当たらなかったですが、
なぜに? どうして?
目立ちたがり?
猫が?
目立たせたがり?^^
飼い主が。。。
バイクも日本酒も関係ありません。。Sorry...
東北ツーリング2010 (6 最終回) [Wessay]
~ 目指すのはあの星じゃないゼヨ ~
温泉ハンターと別れ、稲庭城を出発した。まずは小安峡まで引き返す。
先を急ぎたいところだけど、どうしても名残惜しいので、秋仙の前で写真を一枚撮った。
こうして見るとペンションみたい
これから走る国道398号線は、ちょうど1週間前に全線開通したばかり。
そう、2年前の岩手宮城内陸地震でこの道路は寸断されたのだった。この写真に記憶がある方もいると思う。
これは栗駒山の反対側の342号線
開通していなかったら、湯沢市まで引き返さなければならなかった。つまり迂回路のない峠道ということだ。
曇っていて少し寒いと感じるくらいに気温は低かったが、栗駒山に向かって走る上り道は快適だった。
所々、コンクリート橋で谷を渡っていく。180度方向転換するようなカーブを曲がりきるとまた谷を渡る。
そういえば今回のツーリングではじめて”外足荷重”の感覚をつかんだような気がする。
右カーブの場合、バイクは当然右に傾ける。その時に外側、左側のステップを踏みつける。
若い頃、少し練習したときはまったくうまくできなかった。それ以降、ずっとわからないままでいた。
そもそも倒れる逆側のステップに荷重したら起き上がってしまうじゃないかという不信感に囚われていた。
だけどそうではない。外足荷重するとトラクションが高くなり、バイクは内側に倒れこんでいく。
そしてぐいぐいと曲がっていく。
秋田・宮城県境
花山峠まで一気に駆け上がると宮城県だ。まさにこの辺りは震災の影響が大きかったところだ。
でも”まだ宮城県”である、先は長いチヤ。
山の中を少し進むと見晴らしのいいところに出た。だが曇っているせいか栗駒山は見えなかった。
湯浜峠
北の栃ケ森山から南の栗駒山にいたる山系は森林生態系保護地域に指定されていて、登山道以外は入山が禁止されていると看板に書いてあった。
それだけ読んでさっさと出発した。気持ちが前のめりになっている。
尾根ごと崩れたのが想像できるようなところも通過した。
修復が終わったばかりで、まだ土が赤々としている崖では何人かの作業員の姿をみかけた。
景色を楽しむ余裕もなく、ひたすら走っていると、ふと、谷側が開けているコンクリートの半トンネルに入った。
途中で左の谷側にカーブしていたのだけど、なぜか水道管の工事をしているかのように道路を横切って土がむき出しになっていた。
その湿った土に前輪が乗った途端に、ズルッと滑った。まさに地すべりゼヨー!
あっこれはまずいと体に電流が走ったが、それほどスピードを出していなかったのが幸いして、次の瞬間にはグリップを取り戻した。
外足荷重のおかげで助かったのかもしれん。
とにかく今回の旅ではじめて冷や汗をかいた。こんなバイク用のトラップみたいな工事やり残しはやめてほしいチヤ。
それからは下り坂のはじまりだ。勾配はきつくないのだが、道が狭くて上りのように気持ちよくは走れない。
救いなのは相変わらず車が走っていないこと。バイクのツーリンググループとはすれ違った。
心の中で「この先にトラップがあるから気をつけろ」と言いながら。。
朝、地図をみて予定していたのは、なるべく最短距離を走るために、途中から47号線に入って古川に出るルート。
でも、どこかで曲り損ねたのだろう、道なりに進んでいくと築館に出た。
まだリザーブにもなっていないが、4号線との交差点のGSで給油。
店員のおじさんに聞くと、古川までは30分とのこと。4号線の流れはよさそうだったので、築館ICをやり過ごして古川ICから高速に乗った。
しかし、その途端雲行きが怪しくなってきた。案内表示にもこの先の仙台、福島方面の雨情報が出ている。
これは転ばぬ先のなんとやら、躊躇することなく、次の三本木PAに入ってレインウェアを装着。
なぜかソロツーらしいバイクが何台か次々に入ってきて着替えをしていた。皆さんベテランですね。
果たして、間もなく雨は降り始めたのだけど、小雨程度だった。
まだまだ先は長いので長距離トラックの後ろにへばり付いて、雨と風を避ける、金魚の糞走法でひた走る。
さっき着替えていたライダーに次々と抜かされていくけど気にしない。
雨の予報が表示されていた仙台を通過するとき、そこはもうあがりかけていたが、その先の福島は雨の予報。
ところが福島を通過するころ、そこはまた雨があがっていた。
そう、往きとは正反対に雨雲と逆走しているようで、どこまでいっても本格的な雨には降られないがじゃった。
いい調子だったが、お昼もとっくに過ぎてお腹が空いてきたので、安達太良SAで休憩。
温かいうどんと玉こんにゃくで胃を暖めた。
安達太良山?
それから郡山ジャンクションを過ぎるころには完全に雨はあがった。それで走りながら思案をはじめた。
この先のルートである。
一番無難なのはこのままずっと東北道で帰るルート。次の選択肢は宇都宮の先で北関東自動車道に乗り、水戸方面に出てそこからは一昨日来た道を逆に辿るルート。そして3つ目は郡山の先で東北道を離脱し、一般道をまっすぐ南に走り、水戸に出るルート。
やっぱり1つ目のルートはつまらなすぎるのでまず却下の判定を下した。
基本的に往きと帰りは同じルートを走らない主義であることにすると、2つ目もなし。それにこれも高速が多いしね。
3つ目のルートでも水戸から先は常磐自動車道に乗るというオプションがあるので、これに決定!ゼヨ。
そうこう考えているうちに須賀川ICが近づいてきたので、気合を入れて降りた。
118号線に入ったときには、路面はところどころ濡れてはいるものの、ほぼ快晴の天気だった。ばんざーい。
福島空港が近くにあるせいか、道路も広くて走りやすい。過ぎると普通でしたが・・
それにしても118号線沿いは”川”の字が付く町が続く。須賀川、玉川、石川、浅川・・・道に迷わなくて便利だね。
住基ネット問題で一時有名になった矢祭町を過ぎると第3ルートの目的地はもうすぐだ。
訪れたことがないので、混んでいたり、見物するのに時間がかかるかもしれないというリスクはあるが、このルートを選んだからには寄り道するゼヨ。
ぶっ壊れてしまったと思われる古物商の店先にバイクを停めて、とことこ歩いていった。
午後4時になろうかという時刻だったので観光客も多くはなかった。店番している人もほとんど開店休業の雰囲気。
両側に土産物屋が立ち並ぶ通りを抜けたところで見物料となる通行料を払って、トンネルに入っていく。
何故か電飾が
カップルで訪れるか、クリスマスに来るならそれなりにいい雰囲気なのだろうけど、ひとりのライダーには、どう見ても脈絡のない演出で、変なムードを醸し出すトンネルはそれほど長くなかったので助かった。
しかしである。終点からエレベーターで展望台に登ると・・
袋田の滝
滝は想像以上に大迫力だった。天気もいいし、一昨日来の雨で水量も申し分ないゼヨ。
振り返って谷側を見ると、紅葉の頃には絶景になりそうな風景が広がっていた。
橋にはトンネルの途中から行ける
なかなかいいオプションツアーだったと満足し、後は一目散に帰ることに。
ところで、118号線は、ずうっと久慈川に沿って走っているのだけど、ここまでそれほどいい景色に出くわしていない。
せっかく晴れたし、どこかいい場所があったら走りながらでも何枚か写真を撮りたいと思い、左腕にカメラをぶら下げながら水戸を目指した。
だけど、結局、よさそうなポイントは皆無。それどころかいつの間にか道に迷った。
どこだここは(・ε・?
頭の中に描いているのとは逆方向に国道6号線への案内が。ま、ここは素直に従うべしである。
と思ったのが間違い。常磐自動車道に乗るなら6号線に出ちゃいけなかったのじゃった・・・(後日談)
ま、とはいえ真っ直ぐ走ればよかったのだけど、負けず嫌いの魂にぼっと火が点いてしまい、「こうなったら常磐道なんか乗らずに霞ヶ浦沿いにショートカットして、潮来からまた東関道に乗るもんねー」と予定変更したのが運の尽き。
小美玉からさらに近道の県道に入ったまではよかったが、途中から普通の住宅地になってしまった。
「あれ?道なりに進めば国道にぶつかるはずなのに」
でも方向感覚は鍛えられ、野性の勘にも年季が入っているライダーは商店街や市街地を適当に曲りながら進むのだった。
夕日を右に見ることを忘れずに。。
でも、いつまで経っても霞ヶ浦が現れず、街灯もない山道に差し掛かってしまったときにはさすがに途方に暮れそうになったガヨ。
ここは誰? わたしはどこ?
しかし、
とうとう霞ヶ浦が見える場所に辿り着いた。だけど夕焼けと宵の明星が真正面に見えるのは何故(・ε・?
西に向かって走ってきたの?
そして、秋の夜の帳とともに東北湯煙りツーリングの幕はゆっくりと降りていくのであった・・・
ライダーが無事に帰り着いたかどうかは、
神のみぞ知る。。
ゼヨ。。
おしまい
全行程 1471km でした
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
手書きのゴリラが見たいというリクエストにお答えして。
家庭塗料はアサヒペン♪ ^^
東北ツーリング2010 (5) [Wessay]
~ 大噴出ゼヨ ~
県道(羽州街道)は前に車がつっかえていてトロトロと走らざるを得なかったが、おかげで途中の交通取締りは無事にスルーした。
美郷町から国道13号線になったところのコンビニでトイレ休憩しつつ横手市に入った。
横手からはひと区間だけど高速(無料)に乗り、十文字ICで降りて、またしばらく県道をひた走る。
しばらくすると国道398号線になるが道は広くはならない。そのまま県道が続いているという感じじゃった。
県道のような国道は皆瀬川という川に沿ってじわじわと登っていく。ここも車が少なかった。いや、ほとんど走っていない。
左手に城跡を示す案内看板があったのだが、あたりが薄暗くなってきたこともあってよく見えなかった。
日没と競争するように前の車はズンズン飛ばしていたが、「ようこそ小安峡へ」の看板を通り過ぎたところでスピードが少し落ちた。
秘湯へは細くて険しい山道かダートを通って行くのではないかと想像していたが、その心配はなさそうだ。
そして本日の宿、小安峡温泉秋仙に到着したがじゃった。本日の走行距離 415km。
築1年の新築宿
ここでガイド役石田君(仮名)について紹介しておこう。
彼とはかれこれ20年来の知り合いで、一時期は毎週のように一緒に呑んでいた日本酒仲間でもある。スキーにも行った。
今は仕事で上京してきたときにたまに会う程度だけど、数少ない気の置けない友達のひとりである。
見かけによらないアウトドア派で、カーキチでもあるが、近年は温泉めぐりが趣味らしく、硫酸ガスが噴出すような危険な天然露天風呂にも挑む、命知らずの温泉ハンターになっているようだ。命はかけなくていいと思うが・・
今回はふと「八幡平あたりの温泉にでも行きたいなぁ」と思いついて、「東北のどっか温泉にでも行かないか」とこっちから持ちかけたのだけど、返ってきたメールが「じゃあ八幡平でも行きますか」・・以心伝心とはこのことゼヨ。
ということで、八幡平を東と西から登って峠で落ち合うという、スケールの大きいおとなの待ち合わせをしたのが一週間前のこと。
ちなみに彼は前日別の温泉に行き、車中泊をして八幡平入りしたのだった。
さあ、部屋に荷物を置いて浴衣に着替えたら、さっそく風呂だ。外湯は道路を挟んだ向かい側にあるらしい。
脱衣所は一応左右に分かれているが男女の表示はない。
勝手知ったるハンター石田は左側に入り、電気をつけてさっさと裸になっていた。
お風呂はひとつだけ(写真は翌日のもの)
浴槽の外の谷の底は皆瀬川が流れているはずだが、このときはもう日が暮れていたので景色はよくわからなかった。
でも、まず空気がおいしいし、湯加減もちょうどよく、尻をやけどする心配もないのでリラックスして入れる。
左隅に”立ち湯”がある。風呂の縁にあごを乗せて谷と山の景色を見ていると立ったまま寝てしまいそうだった。
彼はもっと長湯をしていたそうだったが、お腹もすいたし、宿に戻って内湯に入った。ライダーは頭を洗いたいのだよ。
もちろん身体も洗ったのだけど、石鹸を流したあとでも身体をくんくんと嗅ぐと硫黄の匂いがした。そう、藤七温泉の。
ハンターの解説によると、洗った後のほうが活性化してむしろ匂いが強くなるとのことだった。家まで香りを持って帰れそうだ。
そしてお待ちかねの食事の時間。他に一組しか宿泊していないらしく、通された十畳ほどの座敷にお膳はふたつだけ。
お風呂からあがってくるタイミングを計算して料理の準備をしてくれるのは民宿だからできるサービスだ。
でも内湯に入ることは計算外だったらしく、「天ぷら揚げたてじゃなくなっちゃったけど、ごめんなさいね」と女将さんはすまなそうにしていた。
どうですかこのご馳走
海の幸以外は地元の食材だ。マグロと一緒に盛られているのは地元の皆瀬牛の刺身。鮎ももちろん天然。
客が少ないせいか、女将さんが話しに付き合ってくれておもしろかったチヤ。
写真にはないが後で持ってきてくれた吸い物に入っていたキノコはじいちゃんが採ってきた天然マイタケだということ。
(実はマイタケは大の苦手なんだけど、何故かこの”栗の木に生えていた”というヤツは香りがきつくなくて食べられた)
それからシメは稲庭うどん。全く知らなかったが、なんと此の地は稲庭うどん発祥の地だったのである。
来る途中にあった城跡は「稲庭城」。その付近には製麺場が何箇所もあって、周辺地域の人が大勢働いているという。
地元では温かくして食べるのが基本らしい。胃にもやさしくて、5秒でなくなってしまった。
こんな心づくしの料理を食べたのはいつ以来だろうと感動しながらも、久しぶりに仲間と酌み交わす酒に身体が蕩けていった。
じゃあ部屋で呑みなおそうかと席を立った二人だったが、部屋に敷かれていたふかふかの布団に横になった瞬間、あまりの満足感と心地よさに夢の世界へあっけなく落っこちていったのだった・・・
*
気が付くと朝5時。よく寝たなぁと久しぶりの深い睡眠の余韻を感じながら、窓の外の天気を確認していると相棒も目を覚ました。
「朝飯前にちょっと散歩しないか?」
「いいですねぇ、大噴湯でも行きますか」
「大噴湯?」
そこは小安峡最大の見所で、皆瀬川の谷底で自然に源泉が大噴出しているということは昨日ちらりと聞いていた。
「ひょっとして宿の手前の橋のところで湯気がもくもく出てたところ?」
「ああそうです。前回来たときは川が増水してて谷に下りることすらできなかったので見れなかったんですよ」
「へー、じゃあ行ってみよう」
歩いていくとちょっと時間がかかるということなので車ででかけたが、ものの5分もかからずに着いた。
谷に下りていく歩道はきれいな石造りで頑丈そうだったのはいいのだけれど、これまたすごい急階段じゃった。
川は遥か彼方
谷は断崖絶壁なので、つづら折れに階段を造ることができないからだろう、曲がることなくほぼ一直線に下っていく。
だから目的地までの平行距離がとにかく長い。谷底に着くと、何やらブシューブシューッと蒸気機関のような音がしてきた。
川に沿った歩道の脇のあちこちからも湯気が沸き立ち、温泉が噴出していたが、大噴湯はそんなものではなかった。
反対側から見ると
右下横向きに源泉が噴出している
湯気の中を通過するときは視界がほとんどなくなる。噴火ならぬ噴湯という名前がついている訳がよくわかった。
相棒は何やらそこかしこの湯溜まりに手を突っ込んで湯加減をみている。
そして、「あ、ここだここだ」と叫んだかと思うと、早朝で人気がまったくないことをいいことに服を脱ぎ始めた。
入っちゃったよ (@@)
さすが温泉ハンターであるが、こっちはもう可笑しくてゲラゲラ笑うばかり。でもここまでやっちゃうとね・・
ただの山猿ゼヨ ^^
戻りの上り階段は下りの5倍はしんどかったけど、宿に戻って入る朝風呂はその分だけ気持ちよかった。
紅葉はこれから
朝ごはんももりもり食べた。もちろん温泉玉子もおいしくいただきました。
ちょっとここで一休みしたいところだったが、また爆睡確実なので出発の準備をした。
今日は全線開通したばかりの398号線をそのまま進み、栗駒山を越えて宮城県へ入るコースで帰途に着く予定だったが、せっかくなので少し戻って稲庭城まで行くことにした。
相棒も逆戻りルートで新潟に帰る。
女将さんに見送られながら、民宿を8時半に出発した。
稲庭城址は高台にあるため、スロープカーという乗り物で登るのだが、営業は9時半からだった。
女将さんの話では殿様が乗る籠の形をした乗り物だということだったが、待っている余裕はないし、歩いて登るのはまっぴらなので、記念写真だけ撮るだけにした。
スロープカーは見てみたかった
そして温泉ハンター山猿君とは、お互いの帰路の無事を祈りながら握手をし、ここで別れた。また近いうちにと願いつつ。
稲庭城の前に立っている看板
さあ、またソロツーリングのはじまりだ。天気が少し心配だが、戻りのルートは走ったことのない道を通っていくつもり。
どんな道が待っているのか、トラブルなしで帰り着くことができるのか、バッテリーは大丈夫なのか。。
つづく
東北ツーリング2010 (4) [Wessay]
~ 待ち合わせ場所は山のてっぺんゼヨ ~
今日は飛び石連休の谷間の平日、それなりに交通量があるので流れにまかせて進むしかないが、紫波町から盛岡へ向かう国道396号線は、少しずつ田舎の空気が減衰していく行程だった。
盛岡市の市街に差し掛かるところ、北上川の袂で国道4号線にぶつかって旧釜石街道は終わる。
盛岡からは国道282号線で八幡平に向かうというのが頭にインプットしたシナリオだったのだが、
282号線は駅の西側からはじまるという間違った思い込みをしていた。(後で痛い目をみるガヨ)
なので、盛岡駅を中心とした市街地を迂回するように盛岡バイパスを走りきったところで左折した。
岩手大学のキャンパスを突っ切って、新幹線の高架をくぐってしばらく進むと東北道の盛岡ICの案内板があった。
思い込みシナリオではこの先に282号線か八幡平方面へ右折する案内が出現するはずだ。
しかし実際は、282号線は盛岡の先で4号線から枝分かれするようにはじまるのだった。
そう、4号線をそのまま走っていればいいだけの話だったのじゃった。。
さて、迷える子羊は、直進方向秋田、田沢湖という表示には不安を持ちながらも、もう少し行けば北方向への案内が出るだろうと、楽観的に考えていたが、道路が山に向かって登り坂になってきたのでさすがにスピードを下げた。
そして現れたのは「ようこそ雫石町へ」の看板。がーん。まさに脳天に石が落ちてきた気がしたゼヨ。
雫石役場の前で停止し、ついでにメールを送信した。
「道間違えて雫石まで来ちゃった。引き返します」
時刻はもう9時45分!
このままでは遅刻確実なので、盛岡まで戻って高速に乗り、ロスを取り戻すしかないチヤ。
*
東北道を快適に飛ばし、松尾八幡平ICで降りて間もなく、ついに八幡平エリアに入った。
北側から望む岩手山
県道を道なりに突き当たりまで走ると憧れの「八幡平アスピーテライン」に入る。
冬季間は閉鎖される景色の良いスカイラインであり、ライダー垂涎のワインディングロードでもある。
ちなみにアスピーテとは楯状火山という意味だそうだ。八幡平一帯は火山地帯なのだ。
楯状火山道路はまだ午前中のせいか、自動車はほとんど走っていない。自転車がたまに走っている。
登りなのでノロノロ走っている車は軽くパスしていける。パスしていかないと間に合わない。
でもせっかくなのでコーナーはひとつひとつじっくり味わいながら登っていくのじゃ。
ヘアピンコーナーも結構あるが、路面は乾いているし荒れているところもないので走りやすい。
ただ、左手に火山地帯の山々のパノラマが広がるとついつい余所見をしてしまう。
止まって写真でも撮りたいところだが、待ち合わせをしているからそうもいかない。
時間に余裕がないのは誰のせいでもない、寄り道と迷い道をした自分のせいゼヨ。
そしてついに待ち合わせ場所である「見返し峠」まで登りきった。時刻は10時55分!
有料駐車場があるのだが、バイク用の無料スペースもあると聞いていたのでバイクに跨ったままキョロキョロしていると、背後からクラクションを浴びせられた。
「お久しぶりです!」
「おー!久しぶり、待った?でもちゃんと5分前行動だろ」
「ははは、そうですね」
「いやー、でもいい道だった、天気もいいし最高だね」
「そおっすねー、じゃあさっそくお目当ての場所に行きますか」
少し休憩したいところではあるが、二人で行く第一の目的地は藤七温泉という、この峠から分かれ道をほんの1キロくらい下ったところにある温泉ということだ。
そこで湯に浸かりながら休憩すればいいのだ。
もうわくわくしながら、早く行こうと首を縦に振っていた。
でもせっかくなので峠の風景を一枚
「先に行きますからついてきてください」と言われて発進したはいいが、数百メートル進んだところの路肩で車は止まった。
何かトラブルでも発生したかと思っていると我がガイド役が車から降りてきて
「ここから歩いて降りていきますから、バイクはその辺に停めてください」
と言う。
道路はまだ続いている。でも脇道のような歩道はない。左は山、右は谷だ。
一体どういうことかまったくわからずにバイクの傍に立ち尽くしていると、
「こっから下に降りていきます」
とっても急な崖なんですけど・・
しかし何やら白い煙のようなのが見えるし、硫黄のにおいもする。ひょっとして・・
ガイドはもう手拭いを持って準備万端だ。
「タオルか手拭いはありますよね、サンダルはありますか?、なければ貸しますよ」
「手拭いはあるし、ビーサンも持ってきたよ、優秀でしょ?」
手拭いとサンダルを入れたレジ袋を片手にガイドの後に従って崖を下りる。
足がかりはあるが、急だし、枯れた長い草が倒れていて、ブーツだとものすごく滑りやすい。
いや、滑った^^;
なんとか降りきった谷の底には今まで見たことのない景色が展開していた。
石で囲った湯溜まりがいくつか見えるが、なんぜよ、これは!!
天然露天風呂
あっちこっちから温泉が湧き出して蒸気でもうもうとしている。正真正銘の源泉かけ流しじゃー!
岩がゴロゴロしているが、火山灰が溶けたような泥であちこちぬかるんでいて、そんなとこから熱湯が噴出している。
そう、そのためにビーサンは必需品だったのじゃ。
とても熱くて触れない
さっそく服を脱ぎ捨て、じゃぼんと浸かる。しかし底からも直に湧いているので座る場所を選ばないとお尻をやけどする。
先客がひとり居たので、挨拶して世間話をしていると、そのお兄さんは陸前高田の人じゃった。
連れふたり(ひとりは女性!)と今朝8時に着いて、ずっと入っているという。(ビール飲みながら^^)
確かに熱いところは熱いのだけど、長く入っていられる湯である。
ときどき半身浴に切り替えながら、昨日からの疲れを硫黄のかおりに溶かして消していると、その連れの方とライダーがひとり入ってきた。
しばらく5人で世間話をしながら秘湯を楽しんだ。
見上げるとこんな感じ
もと来た崖を登るのには苦労したけど、それだけの価値はあった。
身体も芯から温まったが、湯冷めしないように合羽を着用し、藤七温泉アドベンチャーは終了した。
さて今度はアスピーテラインを反対の秋田県側に駆け降りる。
見返し峠からほど近い展望台(標高1560m)
次の目的地は角館。お昼も過ぎてお腹もすいてきたけど我慢我慢、おいしい蕎麦が待っている。。
下りも空いていたし、ガイドは車で来ていたのだけれど、こっちよりハイペースなくらいなので(笑)快適にドライブを楽しめた。
341号線沿いの景色
途中、田沢湖で給油し(ここまでGSが一軒もなくてガス欠寸前だった)、間違って雫石まで走った秋田街道に入り一路角館へ。
*
着いたところは「かねに」というお店。
時刻は2時55分、閉店時間の5分前に滑り込みセーフ!またしても5分前行動^^;
元々は蕎麦屋ではなく民芸品店だったんじゃないかと思うような風情だった。
二人が入った途端に「閉店しました」
もり蕎麦の大盛り^^
とっても香りのいい更科系の二八蕎麦でありました。いぶりがっこ(燻した漬物)と寒天みたいなデザートもうまかったチヤ。
ゆっくり蕎麦湯をすすった後、食後の腹ごなしもかねて、他の民芸品店や有名な武家屋敷通りなどを散策。
風情がありますぁ
まぁ、男ふたりで歩いていても様にならないので、お土産さえも買わず、秋田の小江戸を後にした。
今晩泊まる場所は、秋田県のほぼ南端の山の中、小安峡という、これまた秘湯らしい・・
つづく
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。