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"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

東北ツーリング2010 (3) [Wessay]

~ 遠野物語ゼヨ ~

確かに駅ではある。宮城県と岩手県の県境でもある。沼じゃないことぐらいはもちろん知っている。
でもあこがれの気仙沼は想像とはまったく違っていた。

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千葉の御宿駅みたいな感じ

まだ6時半だというのに観光案内所の明かりは当然のように消えていた。
とっくに閉めたかのように人の気配がまったくない。
そもそも駅前を歩いている人がひとりもいない。
かろうじて人の気配がするのは、客待ちのタクシーが数台停車しているからだ。

さてどうしたものか。電話帳で宿を調べようと、電話ボックスへ向かって歩いていると
観光案内所の側面に案内板が立っているのを見つけた。
市内の地図に観光スポットや飲食店などがスポットされている。
民宿は緑の○印、ホテルは青い○ということを確認し終わった瞬間、緑の○の密集地を見つけた。
しかしそれは島だった。

”陸中海岸国立公園と海中公園に指定されている気仙沼大島は気仙沼港から船で30分で行ける”とさ・・
バイクでは永遠に行けないよ・・・
他にないかと地図を隅まで見ていると、岩井崎という気仙沼湾の入口の岬付近に何軒かある。
さっき夕焼けを見たところの近くだよ。あーあ。

しかし、普通のホテルに泊まるよりは民宿が断然いいのだ。いいに決まっている。
看板の下の詳細欄にそれぞれの宿の電話番号が書いてあるので、上から順に架けてみることにした。
が、どこも満員だった。シルバーウィークのど真ん中だもんね。。

しょうがなくホテルにすることに。
気仙沼駅のまん前にひとつだけ青い○がついている。
看板からそのまま目線を上にあげると、そのうすら寂れたビジネスホテルの看板が見えた。

バイクはそのまま駅の郵便ポストの前に置き去りにしてヘルメットも被ったまま歩いて行った。
ロビーに入るなり「絶対空いている」という確信を持ったほど、ホテルパールシティ気仙沼には静かな空気が漂っていた。

客のなりを見たフロントマンは、「屋根付き駐車場というわけじゃないですが、一応濡れないスペースがあります」
と言って、駐車場の入口で待ってくれていて、従業員の原付などが停めてある場所に誘導してくれた。
さすがは気仙沼である。

フロントで前払いの料金を払いながら、どこか食事ができるところはありますかとたずねると、
「当ホテルの2階のお食事処でもご用意できますが、外に行かれるとすると街中のほうまでタクシーで行くことになりますね」

しかし、ホテルのレストランで食事なんてまっぴらごめんだという強力なテレパシーが通じたのか、
フロントマンは付近の案内図のチラシを出しながら、
「こちらの居酒屋さんでしたら歩いていくことができます」
さすがは気仙沼である。

部屋に入って熱いシャワーで身体を暖めていると、やっと生きた心地がしてきた。修行はおわりだ。
民宿に泊まるつもりだったので、というのは後付けの言い訳だけど、ろくな着替えは持ってきてない。
夏用のトレパンにTシャツ、それにビーサンを突っかけてホテルを出た。

さっき通ってきた商店街らしき通りにはほとんど人影がなかった。
ワイシャツ姿のおじさん二人とすれ違い、反対側におばさんをひとり見かけただけ。
そして4人目の通行人は右手のスーパーから出てきたOLらしき(若くない)おねえさんだった。

一旦スーパーの前を通り過ぎたが、引き返すことにした。
何故なら寒いからである。
このまま歩いても居酒屋に着く頃には完全に湯冷めしている。
店の中もさすがにまだ暖房はしてないだろうから、この薄着では多分ゆっくり飲み食いしてられない。
最悪は風邪を引く。

という脳内シミュレーションの結果、さっきのおねえさんが出てきたスーパーに入った。
惣菜コーナーに直行して、目についたのは”鰹のタタキ”。表示をみると”気仙沼産”。
お買い上げである。
それと握り寿司をひとパックとカボチャのてんぷらを購入。それともちろん、ビールとお酒。
こんだけ買って約1300円!

ということで部屋に戻ってひとり宴会だー!
足元に置いたブーツをドライヤーで乾かしながら、意外にうまいカツオと無闇にぶ厚いカボチャをむさぼった。

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気仙沼ばんざい!

ベッドの寝心地や枕の高さなどまったく気にならずにすむほど泥のように寝倒したがじゃった。。。

(本日の走行距離 510km)

*

何かうるさいなぁと思ったら、テレビが点けっ放しだった。午前4時。
相当寝たのにまだ眠い。窓の外はまだ暗いが、起きてもいい時間だ。(理由はあとで)
目を覚ますためにシャワーを使い、そそくさと支度をしてチェックアウトした。
午前5時。雨は降っていないが気温は結構低い。

これから盛岡を目指すのだが、駐車場を出て、もう一度気仙沼駅に行ってみた。
それから線路に沿ってしばらく進み、45号線にぶつかったところでこんな光景に出会えた。

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お月様の串刺し

しかし早めに出発した理由は月ではなく、朝日を見るためなのだ。
陸前高田まで45号線は東浜街道というらしいが、気仙沼は少しだけ内陸にあるため、なかなか海沿いに出ない。
10キロほど走って、やっと海が見えたときにはすっかり夜が明けていた。ざんねん。
でも海岸線を走りながら見る景色はよかった。天気も昨日の修行の賜物のようにどかんと晴れたゼヨ。

いよいよ岩手県に入り、陸前高田からは国道340号線、高田街道で遠野を目指す。
早く出たもうひとつの理由は遠野に寄り道するためだった。
ただ気仙沼から盛岡へ高速を使わずに向かうとしたら、遠野を通るルートは遠回りではない。

高田街道が世田米街道に名前を変えるころにはすっかり山の中だ。

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さらにしばらく進むと、目指す方向はとっても怪しい様相を呈していたのじゃった。もう修行はイヤだ。

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朝もやとはとても言えないよ

標高とともに気温も下がってきたし、雨は降らなくても”濡れる”予感がしたので、路肩に停車して合羽の上だけを着用した。
さあ、まさに”行く先は霧の中”だけどレッツゴー!ゼヨ。

*

気持ちよく暖かいトンネルを抜けると、いつのまにか283号線、遠野バイパスを走っていた。修行はせずに済んだ。
釜石線青笹駅を過ぎたところに左遠野市街という標識があったので曲がってみる。
すると間もなく遠野の真ん中を流れる早瀬川に差し掛かったので、ふと川面を見下ろすと・・
ほとんど市街地のような場所なのに、こんな人がいましたよ。

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鮎釣りでしょうかね

そのまま道なりに行くとさっきの遠野バイパスとの交差点に出た。
340号線はこの交差点から直進方向に再度はじまるのだった。ラッキー。
そう、寄り道したいのは遠野から340号線を少し北上したところにある観光名所「カッパ淵」なのだ。

ガソリンタンクはとっくにリザーブなのだが、そこまで行って街中に引き返してくるくらいは問題ない。
途中にまた、走って通り過ぎるだけでは何とももったいない景色があったガヨ。

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カッパ淵はこの左手奥の方向

そこは車が一台やっと通れるような、民家の脇の私道みたいな道を少し入ったところにあった。
観光バスなんかでやってきた人は多分少し離れた駐車場から歩いてくるしかない。
常堅寺の境内を突っ切った裏手にあるようだが、まずはお参りをした。順番は大事である。

お参りし終わって奥に進もうとしたとき、不意に「おはようございます」と声をかけられて驚いた。
普通の洋服を着ているが、どうやらお寺のひとのようだ。
遠野物語の出だしは ”願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ” だけど脅かさんでほしいチヤ。
そしてカッパ淵にも人影が・・

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ミョウガを洗うおばあちゃん

そして淵の真ん中にぶら下がっているのは・・
2010_09_24 7.jpg
ま、シャレだわね・・

さあてお腹もすいたし、どっかで朝ご飯を食べようということで340号線を街中に向けて引き返す。
さっきの交差点を右折したところにGSがあったので、まずはバイクの朝メシだ。
若い店員のあんちゃんに「ここら辺で食事できるところはありますか」とたずねると、

「まぁだどこもやってないですねぇ、コンビニくらいしかないですよ」
「あーそー、まだ8時だもんねぇ」
「遠野の朝はゆっくりなんですよ」

そのGSの向かい側がまさにコンビニだったのだが、遠野に来て朝飯がコンビニってのは・・・

「盛岡方面に行きたいんですけど、このまま道なりに行けば大丈夫ですかね」
「道なりに行くとだんだん上り坂になってそれから今度は下り坂になります。下りきったところの交差点にスタンド、もうやってないですけど、そこを右折してください。そしたら盛岡方面に行けます」

ドライブインか何かあるだろうと勝手に決めつけていざ発進。
すると、言われた上り坂の途中に道の駅”遠野風の丘”発見!なんだいい所があるじゃないか。

しかし入ってみるとまだやってなかった・・・ やっぱり、あんちゃんの言うとおり、遠野の朝はゆっくりなのだ。

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開店準備はしてたけどね・・

開店まで待っているほど時間の余裕はないので先を急ぐのだった・・と思ったら沿道にこんなところが・・

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南部曲り家 千葉家

見物しているヒマはない、お腹もペコペコだし、ちょっと惜しいけど先を急ぐ。
が、396号線はひたすら山の中。メシが食えそうなところなんかなんにもなかった。

*

遠野と盛岡のちょうど中間、紫波郡紫波町というところに入った途端、産直品販売所みたいなところがあった。
花や植木が目に付いたが、店内では野菜や果物を売っていた。
そこでおいしそうな炊き込みご飯のおにぎりを発見!やったー!と思ったが買わなかった。(何故かはヒミツ)
でも他にはご飯ものがなーんにもない。ウソだと言ってつかーさい!
と、何やらふしぎなものが並んでいるのを見つけた。

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がんづき
 
要は蒸しパンみたいなものなんだけど、クルミなんかがトッピングされていてちょっと都会的でかつ自然食的。
自販機でカフェオレを買って、案山子コンテストの広場で食べました。

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まったく絵になってないけどおいしかった

あーやっと一心地ついたゼヨー、って言っている場合ではなかったガヨ。
実は、今日の待ち合わせ場所は盛岡ではなく、八幡平なのであったのです。待ち合わせ時刻は11時!

間に合うのか・・・?


つづく

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