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東北ツーリング2010 (4) [Wessay]

~ 待ち合わせ場所は山のてっぺんゼヨ ~

今日は飛び石連休の谷間の平日、それなりに交通量があるので流れにまかせて進むしかないが、紫波町から盛岡へ向かう国道396号線は、少しずつ田舎の空気が減衰していく行程だった。
盛岡市の市街に差し掛かるところ、北上川の袂で国道4号線にぶつかって旧釜石街道は終わる。

盛岡からは国道282号線で八幡平に向かうというのが頭にインプットしたシナリオだったのだが、
282号線は駅の西側からはじまるという間違った思い込みをしていた。(後で痛い目をみるガヨ)
なので、盛岡駅を中心とした市街地を迂回するように盛岡バイパスを走りきったところで左折した。

岩手大学のキャンパスを突っ切って、新幹線の高架をくぐってしばらく進むと東北道の盛岡ICの案内板があった。
思い込みシナリオではこの先に282号線か八幡平方面へ右折する案内が出現するはずだ。
しかし実際は、282号線は盛岡の先で4号線から枝分かれするようにはじまるのだった。
そう、4号線をそのまま走っていればいいだけの話だったのじゃった。。

さて、迷える子羊は、直進方向秋田、田沢湖という表示には不安を持ちながらも、もう少し行けば北方向への案内が出るだろうと、楽観的に考えていたが、道路が山に向かって登り坂になってきたのでさすがにスピードを下げた。
そして現れたのは「ようこそ雫石町へ」の看板。がーん。まさに脳天に石が落ちてきた気がしたゼヨ。

雫石役場の前で停止し、ついでにメールを送信した。
「道間違えて雫石まで来ちゃった。引き返します」
時刻はもう9時45分!
このままでは遅刻確実なので、盛岡まで戻って高速に乗り、ロスを取り戻すしかないチヤ。

*

東北道を快適に飛ばし、松尾八幡平ICで降りて間もなく、ついに八幡平エリアに入った。

2010_09_24 12.jpg
北側から望む岩手山

県道を道なりに突き当たりまで走ると憧れの「八幡平アスピーテライン」に入る。
冬季間は閉鎖される景色の良いスカイラインであり、ライダー垂涎のワインディングロードでもある。
ちなみにアスピーテとは楯状火山という意味だそうだ。八幡平一帯は火山地帯なのだ。

楯状火山道路はまだ午前中のせいか、自動車はほとんど走っていない。自転車がたまに走っている。
登りなのでノロノロ走っている車は軽くパスしていける。パスしていかないと間に合わない。
でもせっかくなのでコーナーはひとつひとつじっくり味わいながら登っていくのじゃ。

ヘアピンコーナーも結構あるが、路面は乾いているし荒れているところもないので走りやすい。
ただ、左手に火山地帯の山々のパノラマが広がるとついつい余所見をしてしまう。
止まって写真でも撮りたいところだが、待ち合わせをしているからそうもいかない。
時間に余裕がないのは誰のせいでもない、寄り道と迷い道をした自分のせいゼヨ。

そしてついに待ち合わせ場所である「見返し峠」まで登りきった。時刻は10時55分!
有料駐車場があるのだが、バイク用の無料スペースもあると聞いていたのでバイクに跨ったままキョロキョロしていると、背後からクラクションを浴びせられた。

「お久しぶりです!」
「おー!久しぶり、待った?でもちゃんと5分前行動だろ」
「ははは、そうですね」
「いやー、でもいい道だった、天気もいいし最高だね」
「そおっすねー、じゃあさっそくお目当ての場所に行きますか」

少し休憩したいところではあるが、二人で行く第一の目的地は藤七温泉という、この峠から分かれ道をほんの1キロくらい下ったところにある温泉ということだ。
そこで湯に浸かりながら休憩すればいいのだ。
もうわくわくしながら、早く行こうと首を縦に振っていた。


2010_09_24 13.jpg
でもせっかくなので峠の風景を一枚

「先に行きますからついてきてください」と言われて発進したはいいが、数百メートル進んだところの路肩で車は止まった。
何かトラブルでも発生したかと思っていると我がガイド役が車から降りてきて
「ここから歩いて降りていきますから、バイクはその辺に停めてください」
と言う。

道路はまだ続いている。でも脇道のような歩道はない。左は山、右は谷だ。
一体どういうことかまったくわからずにバイクの傍に立ち尽くしていると、
「こっから下に降りていきます」

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とっても急な崖なんですけど・・

しかし何やら白い煙のようなのが見えるし、硫黄のにおいもする。ひょっとして・・

ガイドはもう手拭いを持って準備万端だ。

「タオルか手拭いはありますよね、サンダルはありますか?、なければ貸しますよ」
「手拭いはあるし、ビーサンも持ってきたよ、優秀でしょ?」

手拭いとサンダルを入れたレジ袋を片手にガイドの後に従って崖を下りる。
足がかりはあるが、急だし、枯れた長い草が倒れていて、ブーツだとものすごく滑りやすい。
いや、滑った^^;

なんとか降りきった谷の底には今まで見たことのない景色が展開していた。
石で囲った湯溜まりがいくつか見えるが、なんぜよ、これは!!

2010_09_24 15.jpg
天然露天風呂

あっちこっちから温泉が湧き出して蒸気でもうもうとしている。正真正銘の源泉かけ流しじゃー!
岩がゴロゴロしているが、火山灰が溶けたような泥であちこちぬかるんでいて、そんなとこから熱湯が噴出している。
そう、そのためにビーサンは必需品だったのじゃ。

2010_09_24 16.jpg
とても熱くて触れない

さっそく服を脱ぎ捨て、じゃぼんと浸かる。しかし底からも直に湧いているので座る場所を選ばないとお尻をやけどする。
先客がひとり居たので、挨拶して世間話をしていると、そのお兄さんは陸前高田の人じゃった。
連れふたり(ひとりは女性!)と今朝8時に着いて、ずっと入っているという。(ビール飲みながら^^)

確かに熱いところは熱いのだけど、長く入っていられる湯である。
ときどき半身浴に切り替えながら、昨日からの疲れを硫黄のかおりに溶かして消していると、その連れの方とライダーがひとり入ってきた。
しばらく5人で世間話をしながら秘湯を楽しんだ。

2010_09_24 17.jpg
見上げるとこんな感じ

もと来た崖を登るのには苦労したけど、それだけの価値はあった。
身体も芯から温まったが、湯冷めしないように合羽を着用し、藤七温泉アドベンチャーは終了した。
さて今度はアスピーテラインを反対の秋田県側に駆け降りる。

2010_09_24 18.jpg
見返し峠からほど近い展望台(標高1560m)

次の目的地は角館。お昼も過ぎてお腹もすいてきたけど我慢我慢、おいしい蕎麦が待っている。。
下りも空いていたし、ガイドは車で来ていたのだけれど、こっちよりハイペースなくらいなので(笑)快適にドライブを楽しめた。

2010_09_24 19.jpg
341号線沿いの景色

途中、田沢湖で給油し(ここまでGSが一軒もなくてガス欠寸前だった)、間違って雫石まで走った秋田街道に入り一路角館へ。

*

着いたところは「かねに」というお店。
時刻は2時55分、閉店時間の5分前に滑り込みセーフ!またしても5分前行動^^;
元々は蕎麦屋ではなく民芸品店だったんじゃないかと思うような風情だった。

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二人が入った途端に「閉店しました」

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もり蕎麦の大盛り^^

とっても香りのいい更科系の二八蕎麦でありました。いぶりがっこ(燻した漬物)と寒天みたいなデザートもうまかったチヤ。
ゆっくり蕎麦湯をすすった後、食後の腹ごなしもかねて、他の民芸品店や有名な武家屋敷通りなどを散策。

2010_09_24 22.jpg
風情がありますぁ

まぁ、男ふたりで歩いていても様にならないので、お土産さえも買わず、秋田の小江戸を後にした。

今晩泊まる場所は、秋田県のほぼ南端の山の中、小安峡という、これまた秘湯らしい・・


つづく


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コメント 4

ごろすけ

東北を走ってみたいと思いつつ、いきなり寒く
なってきたので来年走ります(-_-;)
by ごろすけ (2010-10-10 12:57) 

かっか

>ごろすけさん
え!もう冬眠ですか?
グリップヒーター付いてるぢゃないですかっ^^
by かっか (2010-10-10 23:51) 

barbie

東北は一度行って病みつきになりました。
しか〜し、京都から遠いのが難です。今年の7月に仕事で秋田に行ったときに角館に行こうかどうしようか迷って田沢湖にしました。
秘湯いいですね。次回は絶対に行ってみたいです。
by barbie (2010-10-12 14:35) 

かっか

>barbieさん、ご訪問ありがとうございます!
たしかに京都からは果てしなく遠いですよね。。
この時期の田沢湖はいいと思います。
角館はやっぱり何といっても春!でしょうかね^^
by かっか (2010-10-12 21:31) 

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