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"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

東北ツーリング2010 (6 最終回) [Wessay]

~ 目指すのはあの星じゃないゼヨ ~

温泉ハンターと別れ、稲庭城を出発した。まずは小安峡まで引き返す。
先を急ぎたいところだけど、どうしても名残惜しいので、秋仙の前で写真を一枚撮った。

2010_09_25 9a.jpg
こうして見るとペンションみたい

これから走る国道398号線は、ちょうど1週間前に全線開通したばかり。
そう、2年前の岩手宮城内陸地震でこの道路は寸断されたのだった。この写真に記憶がある方もいると思う。

祭畤大橋.jpg
これは栗駒山の反対側の342号線

開通していなかったら、湯沢市まで引き返さなければならなかった。つまり迂回路のない峠道ということだ。
曇っていて少し寒いと感じるくらいに気温は低かったが、栗駒山に向かって走る上り道は快適だった。

所々、コンクリート橋で谷を渡っていく。180度方向転換するようなカーブを曲がりきるとまた谷を渡る。
そういえば今回のツーリングではじめて”外足荷重”の感覚をつかんだような気がする。
右カーブの場合、バイクは当然右に傾ける。その時に外側、左側のステップを踏みつける。

若い頃、少し練習したときはまったくうまくできなかった。それ以降、ずっとわからないままでいた。
そもそも倒れる逆側のステップに荷重したら起き上がってしまうじゃないかという不信感に囚われていた。
だけどそうではない。外足荷重するとトラクションが高くなり、バイクは内側に倒れこんでいく。
そしてぐいぐいと曲がっていく。

2010_09_25 10.jpg
秋田・宮城県境

花山峠まで一気に駆け上がると宮城県だ。まさにこの辺りは震災の影響が大きかったところだ。
でも”まだ宮城県”である、先は長いチヤ。

山の中を少し進むと見晴らしのいいところに出た。だが曇っているせいか栗駒山は見えなかった。

2010_09_25 11.jpg
湯浜峠

北の栃ケ森山から南の栗駒山にいたる山系は森林生態系保護地域に指定されていて、登山道以外は入山が禁止されていると看板に書いてあった。
それだけ読んでさっさと出発した。気持ちが前のめりになっている。

尾根ごと崩れたのが想像できるようなところも通過した。
修復が終わったばかりで、まだ土が赤々としている崖では何人かの作業員の姿をみかけた。

景色を楽しむ余裕もなく、ひたすら走っていると、ふと、谷側が開けているコンクリートの半トンネルに入った。
途中で左の谷側にカーブしていたのだけど、なぜか水道管の工事をしているかのように道路を横切って土がむき出しになっていた。
その湿った土に前輪が乗った途端に、ズルッと滑った。まさに地すべりゼヨー!
あっこれはまずいと体に電流が走ったが、それほどスピードを出していなかったのが幸いして、次の瞬間にはグリップを取り戻した。
外足荷重のおかげで助かったのかもしれん。
とにかく今回の旅ではじめて冷や汗をかいた。こんなバイク用のトラップみたいな工事やり残しはやめてほしいチヤ。

それからは下り坂のはじまりだ。勾配はきつくないのだが、道が狭くて上りのように気持ちよくは走れない。
救いなのは相変わらず車が走っていないこと。バイクのツーリンググループとはすれ違った。
心の中で「この先にトラップがあるから気をつけろ」と言いながら。。

朝、地図をみて予定していたのは、なるべく最短距離を走るために、途中から47号線に入って古川に出るルート。
でも、どこかで曲り損ねたのだろう、道なりに進んでいくと築館に出た。
まだリザーブにもなっていないが、4号線との交差点のGSで給油。
店員のおじさんに聞くと、古川までは30分とのこと。4号線の流れはよさそうだったので、築館ICをやり過ごして古川ICから高速に乗った。

しかし、その途端雲行きが怪しくなってきた。案内表示にもこの先の仙台、福島方面の雨情報が出ている。
これは転ばぬ先のなんとやら、躊躇することなく、次の三本木PAに入ってレインウェアを装着。
なぜかソロツーらしいバイクが何台か次々に入ってきて着替えをしていた。皆さんベテランですね。

果たして、間もなく雨は降り始めたのだけど、小雨程度だった。
まだまだ先は長いので長距離トラックの後ろにへばり付いて、雨と風を避ける、金魚の糞走法でひた走る。
さっき着替えていたライダーに次々と抜かされていくけど気にしない。

雨の予報が表示されていた仙台を通過するとき、そこはもうあがりかけていたが、その先の福島は雨の予報。
ところが福島を通過するころ、そこはまた雨があがっていた。
そう、往きとは正反対に雨雲と逆走しているようで、どこまでいっても本格的な雨には降られないがじゃった。

いい調子だったが、お昼もとっくに過ぎてお腹が空いてきたので、安達太良SAで休憩。
温かいうどんと玉こんにゃくで胃を暖めた。

2010_09_25 12.jpg
安達太良山?

それから郡山ジャンクションを過ぎるころには完全に雨はあがった。それで走りながら思案をはじめた。
この先のルートである。
一番無難なのはこのままずっと東北道で帰るルート。次の選択肢は宇都宮の先で北関東自動車道に乗り、水戸方面に出てそこからは一昨日来た道を逆に辿るルート。そして3つ目は郡山の先で東北道を離脱し、一般道をまっすぐ南に走り、水戸に出るルート。

やっぱり1つ目のルートはつまらなすぎるのでまず却下の判定を下した。
基本的に往きと帰りは同じルートを走らない主義であることにすると、2つ目もなし。それにこれも高速が多いしね。
3つ目のルートでも水戸から先は常磐自動車道に乗るというオプションがあるので、これに決定!ゼヨ。

そうこう考えているうちに須賀川ICが近づいてきたので、気合を入れて降りた。
118号線に入ったときには、路面はところどころ濡れてはいるものの、ほぼ快晴の天気だった。ばんざーい。
福島空港が近くにあるせいか、道路も広くて走りやすい。過ぎると普通でしたが・・

それにしても118号線沿いは”川”の字が付く町が続く。須賀川、玉川、石川、浅川・・・道に迷わなくて便利だね。
住基ネット問題で一時有名になった矢祭町を過ぎると第3ルートの目的地はもうすぐだ。
訪れたことがないので、混んでいたり、見物するのに時間がかかるかもしれないというリスクはあるが、このルートを選んだからには寄り道するゼヨ。

ぶっ壊れてしまったと思われる古物商の店先にバイクを停めて、とことこ歩いていった。
午後4時になろうかという時刻だったので観光客も多くはなかった。店番している人もほとんど開店休業の雰囲気。
両側に土産物屋が立ち並ぶ通りを抜けたところで見物料となる通行料を払って、トンネルに入っていく。

2010_09_25 13.jpg
何故か電飾が

カップルで訪れるか、クリスマスに来るならそれなりにいい雰囲気なのだろうけど、ひとりのライダーには、どう見ても脈絡のない演出で、変なムードを醸し出すトンネルはそれほど長くなかったので助かった。

しかしである。終点からエレベーターで展望台に登ると・・


2010_09_25 14.jpg
袋田の滝

滝は想像以上に大迫力だった。天気もいいし、一昨日来の雨で水量も申し分ないゼヨ。
振り返って谷側を見ると、紅葉の頃には絶景になりそうな風景が広がっていた。

2010_09_25 15.jpg
橋にはトンネルの途中から行ける

なかなかいいオプションツアーだったと満足し、後は一目散に帰ることに。

ところで、118号線は、ずうっと久慈川に沿って走っているのだけど、ここまでそれほどいい景色に出くわしていない。
せっかく晴れたし、どこかいい場所があったら走りながらでも何枚か写真を撮りたいと思い、左腕にカメラをぶら下げながら水戸を目指した。
だけど、結局、よさそうなポイントは皆無。それどころかいつの間にか道に迷った。

2010_09_25 16.jpg
どこだここは(・ε・?

頭の中に描いているのとは逆方向に国道6号線への案内が。ま、ここは素直に従うべしである。
と思ったのが間違い。常磐自動車道に乗るなら6号線に出ちゃいけなかったのじゃった・・・(後日談)

ま、とはいえ真っ直ぐ走ればよかったのだけど、負けず嫌いの魂にぼっと火が点いてしまい、「こうなったら常磐道なんか乗らずに霞ヶ浦沿いにショートカットして、潮来からまた東関道に乗るもんねー」と予定変更したのが運の尽き。
小美玉からさらに近道の県道に入ったまではよかったが、途中から普通の住宅地になってしまった。

「あれ?道なりに進めば国道にぶつかるはずなのに」
でも方向感覚は鍛えられ、野性の勘にも年季が入っているライダーは商店街や市街地を適当に曲りながら進むのだった。
夕日を右に見ることを忘れずに。。

でも、いつまで経っても霞ヶ浦が現れず、街灯もない山道に差し掛かってしまったときにはさすがに途方に暮れそうになったガヨ。

2010_09_25 17.jpg
ここは誰? わたしはどこ?

しかし、
とうとう霞ヶ浦が見える場所に辿り着いた。だけど夕焼けと宵の明星が真正面に見えるのは何故(・ε・?
西に向かって走ってきたの?

2010_09_25 18.jpg


そして、秋の夜の帳とともに東北湯煙りツーリングの幕はゆっくりと降りていくのであった・・・


ライダーが無事に帰り着いたかどうかは、


神のみぞ知る。。


ゼヨ。。



おしまい

2010_09_25 19.jpg


全行程 1471km でした
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


手書きのゴリラが見たいというリクエストにお答えして。

2010_09_25 20.jpg
家庭塗料はアサヒペン♪ ^^



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